MENU
CLOSE

大きくなったら漁師になる 丹後が育む食と職 Become a fisherman in the future

農業、漁業、醸造に狩猟。
丹後に広がる豊かな食を支えるのは、豊かな職。

こんにちは、PARANOMADデザイナーの原田美帆です。

仕事と暮らしがすぐ隣にある。これはたくさんの方が家業を営む丹後では当たり前の風景。東京からやってきた「かんちゃん」と、丹後の食と職をめぐる冒険に出発しましょう。

早朝の目覚ましも何のその、静かな夜を深く眠ったかんちゃんは元気いっぱいに跳ね回っています。宮津で漁師を営む本藤靖さんの船に乗り込み、初めての船釣り体験に。「少し先に海の森がある。その傾斜に錨を降ろしてシロギスを釣りますよ。そういう所には魚もたくさんいるからね」。船の下に広がる世界が目の前に見えるような靖さんのお話に、みんなワクワク。


ブルーのツナギを着た漁師 本藤靖さんと奥さま由紀子さん

餌のゴカイを釣り針に刺して、釣竿をヒュッと海面に降ろす。細い糸で海面をなでる感覚や、釣竿から手に伝わる海の流れ…普段は使われていない身体のセンサーが覚醒していくようです。電気が走ったようにビッと感じたら魚がかかったサイン。かんちゃんのお父さんが釣り上げたシロギスの美しいこと。パールピンクに輝くシロギスはこの瞬間しか見られません。

巻き上げた先の釣り針がなくなっています。「これはフグの仕業。よし、フグ退治するか」と靖さんが持ち出したのは、大きな釣り針が何本も束になった仕掛けと糸巻き機。蛸の身を巻きつけて海底からわずかに浮かせると、何かがツンツンと突くのが分かります。それは魚が蛸に食らいついているサイン!一息に仕掛けを引き上げて、そのまま糸を手繰って獲物と対面!海水でぽんぽんにお腹を膨らませたフグがかかると、しばらくは釣り針が無くなることはありません。魚たちが異変に気付いて静まり返るからです。仕掛けの針を獲物の腹に突き刺す昔ながらの漁法、最初は酷いと言いつつ、そのシンプルな道具とダイレクトな手ごたえに夢中に。大きなウミヘビが掛かって海面スレスレでリリースなんてハプニングも。

次はカゴ漁体験。モーターの力で次々と上がってくるカゴ網から様々な小魚や貝、蟹、そして宮津のマダコが出てきて、コンテナはあっという間に海の生き物でいっぱいに。「海の中にはもっとたくさんの生き物が住んでいて、とっても賑やかなんだよ」。何でも手を伸ばして掴もうとするかんちゃん。見事、蛸をつかんで網に入れて、靖さんと一緒に神経〆までやり遂げました。

眼を見張る鮮やかな色をした蟹はタイワンガザミ(宮津ではアオバサミと呼ばれている)。「沖合で捕れる蟹より沿岸に近い方がおいしいんだ」。川から流れこむ水が豊富なプランクトンを育て、それを食べる魚や貝が美味しくなること。山と海が繋がっていること。海の生き物に心を奪われたかんちゃんに、靖さんは教えてくれました。

宮津の漁師町から車で5分、次に訪れたのはイタリアンレストラン「aceto(アチェート)」。重康彦シェフに魚を預け、ディナーにしてもらいます。「皆で力を合わせて釣ったお魚がどんなお料理になるのかな?」。宮津でしか味わえない特別な体験をしてほしいからと、重シェフが特別に引き受けてくれました。


aceto  重康彦シェフ に獲れたての食材を渡します

お昼ご飯でパワーチャージしたら、明治26年から宮津でお酢を製造する「飯尾醸造」の蔵見学でへ。米作りから始まるお酢作りを学びます。「今日の晩ご飯には、ここで作られたお酢が入っているよ」。acetoはイタリア語でお酢、飯尾醸造が手がけるレストランなのです。

お腹をペコペコに空かせて、いよいよディナーの幕が上がりました。蛸はカボチャとコロッケに、コナガニシ貝と合わせたサラダにも。メニューには「本藤さんの魚のフリット」が。これは誰が釣ったお魚かな?と丁寧に捌いてもらったシロギスやカワハギを味わいます。アオバサミはパスタに変身。ご馳走の連続に、かんちゃんも大人たちも「美味しい!」が止まりません。漁師から料理人へのバトン、そこに重ねられる蔵人の仕事、、、いくつもの職がこの一皿に詰まっています。


本藤さんの魚のフリットをパクパク


アオバサミはえんどう豆と合わせてパッパルデッレというパスタに

翌日には世屋高原まで駆け上がって金色に輝く稲穂を眺めました。無農薬で栽培される飯尾醸造の棚田が一面に広がっています。「このお米がお酢になるね」。

食と職が結びついた体験を、丹後で見たことを、きっと覚えておいてくれますように。
そう願いながら、冒険の最後に尋ねてみました。

「大きくなったら何になる?」

原田 美帆
与謝野町在住
インテリアコーディネーター・現代アートスタジオスタッフとして活躍し、2015年からは丹後・与謝野町に移住と共にデザインスタジオ「PARANOMAD(パラノマド)」を設立。織物は彫刻という独自の視点でカーテンを始めとしたテキスタイルを制作。また、マニアックな所まで的確にレポートするライターとしても活躍中。そんな彼女の美と食の記事は今後とても楽しみであります。PARANOMAD

INFORMATION

名称
アチェート
Name
aceto
住所
京都府宮津市新浜1968
Address
kyoto,miyazu,sinhama1968
URL
https://www.aceto.jp
Url
https://www.aceto.jp
名称 Name
アチェート aceto
住所 Address
京都府宮津市新浜1968 kyoto,miyazu,sinhama1968
URL Url
https://www.aceto.jp https://www.aceto.jp
  • TOP
  • FOOD
  • 螺旋の渦巻く先 高蔵染「TANGO ART CARNIVAL」