皆さま、はじめまして。
Tangonian 代表の長瀬 啓二です。
僕は学生時代、留学先のオーストラリアで、都会の喧騒を避け農家で働きながら田舎町を転々としていました。
Bundabergのズッキーニ農園にて
未だ知らないまち、未だ知らない価値観や文化の入口へと案内してくれたのは、いつも旅先での出会いでした。
持続可能な世界一美しいまちCrystal Waters
日本のみならず世界でも愛され、栽培されている二十世紀梨や富士林檎
水平線に沈む夕陽が眺められる最高のスポット・・・
旅先での出会いや発見が、次の新たな旅の目的地を僕たちに教えてくれます。
そして、都市の名前は思い出せなくなっても、そこで出会った人の温かみや一緒に過ごした時間は一生忘れられません。
Moreton Islandで出会った夕陽
いい旅は、新しい出会いがあり、発見がある。
いい旅は、人を育ててくれる。
2017年10月、そんな旅先での記憶と想いを胸に、外国人旅行者の旅をサポートする会社「Tangonian」を設立いたしました。
海外からのお客様は日本の伝統文化や食文化、歴史や建築、暮らし方や価値観に高い興味を持っています。
旅の中で「日本人と同じようにそれらに触れ、体験し、より深く知りたい」と。
日本人にとっては、日々の暮らしは“日常”であっても、
世界中からのお客様にとってはそのすべてが“非日常”な体験です。
日本を訪れる海外からのお客様と、お迎えする私たちとの出会いこそが、
この地域やこの国の文化や歴史、暮らし方や価値観を多様性のあるもっと豊かなものにしてくれると信じております。
幸いにも、丹後・但馬などの北近畿エリアには、
美しい海や山、田畑風景や温泉などの豊かな自然環境と多彩な食
丹後ちりめんなどの伝統産業や祭りなど都市部にはない魅力的な体験で溢れています。
ここにしかないひとつひとつの“日常”と“非日常”の交差点を増やし、
「世界中からのお客様にこの地域を知ってもらい、旅を楽しんでもらうこと」
「価値観の異なる人との出会いや交流を通して、日々の暮らしがより豊かで楽しくなる地域にすること」を目指し、Tangonianは活動しております。
「THE TANGO」では、そんな“交差点”の記録を少しずつ、皆さまにご紹介できればと思います。
今回は、世界のお客様をも魅了するお醤油屋さんをご紹介したいと思います。
京都府京丹後市峰山町にある小野甚味噌醤油醸造株式会社は、大正元年創業の老舗醤油蔵です。
小野甚さんの看板商品である天然醸造醤油の「甚左衛門」は、与謝野町の大豆を使用し、
発酵熟成に3年間かけた古式醸造醤油です。
大手メーカーと違い発酵熟成にたっぷり時間をかけて作り上げています。
「発酵食品には多くの微生物が関わっていて、時間軸に沿ってそれぞれの役目を果たしているので、どうしても時間がかかるのです」とのこと。
小野甚さんは、味噌醤油から現代の味覚に対応したドレッシング類、伝統の素材である米こうじを使った塩こうじ、あまこうじなどの調味料も作っています。
おのじん・小野社長(Photo by Takeru Inoue)
合理化や効率化を求めるのではなく、本物を創るために、
「この土地だからこそできること」
「原材料にこだわること、時間をかけること」を大切にしています。
先日、イギリス ウェールズ地方からの大学生をご案内しました。
小野社長がウェールズ語で簡単な挨拶すると、学生たちはビックリ!
そんな社長のおもてなしの心意気に感動し、一瞬であたたかい空気が流れます。
小野社長から、味噌や醤油がどうやって作られるのか、発酵食品のもつ力をご説明いただき、その後にお醤油のテイスティングへ
テイスティングは、①~③番の種類の異なる醤油を試飲して違いを味わってもらい、
その後、1種類を試飲して何番だったのかを当てるというもの
テイスティングのお醤油
一つ一つ試飲が楽しめます
イギリスでも日本の醤油はとても人気が高く、
「②番をください」「私は③番で!」
自分の舌で味わって、気に入った醤油を家族へのプレゼントにするそうです。
(小野社長とイギリスの大学生)
2016 年には地元産黒ニンニクを使った” 黒にんにくドレッシング” が
料理専門誌「料理王国」の” 料理王国 100 選” に選ばれました。
また、その中から、9 アイテムがスペインの首都マドリッドで開催される「国際ガストロノミー学会「マドリッド・フュージョン」(世界中から料理人、フー ドジャーナリストらが集う料理学会)に出品され、その 9 アイテムの中にも 選ばれるなど、世界へも発信されています。
あらゆるものが変化し続ける時代、
伝統を守りながら、新しい物を創造するという「伝統は日々の革新から」という想いが
一つひとつの商品から伝わってきました。
長瀬 啓二(Keiji Nagase)
京丹後市網野町出身
大学在学中にオーストラリアへ留学しその経験を基に2017年に「旅は“日常”と“非日常”の交差点」をコンセプトに外国人旅行者へローカルならではの出会いと体験、そしておもてなしをサポートする “Tangonian”を設立しグローバルな視点で新しい丹後の旅のカタチを発信している。また、元中学校英語教員という肩書きも実に面白い。