『自然に寄り添い、地域に根ざし食べ物を作る素晴らしさを子どもたち世代に伝えたい』
そんな思いを持って日々養鶏に取り組まれている若い農家さんがいらっしゃいます。
三野 牧人さん
「三野牧人」さんは、舟屋で有名な伊根町の山あいに位置する本庄地区にて、代々続く養鶏農家の3代目として、日々美味しい卵作りに取り組んでいらっしゃいます。
三野養鶏場では、約2000羽の鶏を育成しております。この2000羽という数、鶏だけを飼っている農家としては、極めて小さい規模とのこと。
一般的な養鶏場では、何万、何十万、何百万といった数の鶏が飼育されているようです。
飼育数が多い養鶏場の中には、エサも自動で給餌され、卵の収穫までも自動で行われているところもあるようです。
それに対して三野さんの養鶏は、少ない羽数だからこそ、全て手作業で行い、きめ細かいところまで目が行き届く管理をされていらっしゃいます。
また、『鶏の食べるものが卵の味を決める』という考えのもと、鶏の食事にもこだわりを持っていらっしゃいます。
そのこだわりとは、
①新鮮な食事を与えられるよう、既に配合された飼料を使うのではなく、自家配合した飼料を使う
②非遺伝子組み替え、ポストハーベストフリーのトウモロコシを与える
③酸化防止剤不使用の魚粉を使用する
④地域で獲れたお米を鶏の食事として一部与える
→地域で育ったお米を年間通して与えられることを目指しています。
卵を産み終わった後の鶏は、ご自身のところで精肉にし、鶏のフンも、飼料米の栽培用肥料として、田んぼに還元し、循環した栽培を実施されております。
養鶏において『何一つ無駄なモノはない』という考えのもと、大事にひよこから、最後まで責任を持って育て、我々食べる人のところに卵を届けてくださっております。
三野さんは「昔ながらのシンプルな味わいの卵」を目指して養鶏されております。
卵の黄身の色にも特徴があり、その黄身の色はキレイなレモン色をしております。このレモン色の卵こそ、昔ながらの卵の色だそうです。
卵は、味も色も全てが餌で決まると三野さんに教えいただきました。
そして、一年中食べることができる卵ですが、意外なことに、卵にも美味しい時期があることをご存知でしょうか?
実は卵は、冬場に味が良くなるようです。その理由は、鶏が寒さに対応するために冬場は餌をたくさん食べるから。餌をたくさん食べるので、卵の大きさも大きく、味も良くなるようです。逆に夏場は鶏も暑さであまり食べなくなるとのこと。人間と同じですね。
三野養鶏場では、雛から生育を行なっております。そして雛の時は、平飼いで飼育しています。この雛の可愛さといったら、たまりません。
最後に、三野さんが食べる人に宛てたメッセージをご紹介いたします。
『私たち作り手は、鶏の手助けをしているだけで実際に食べ物という命を与えてくれているのは鶏です。』
『卵を生産して肉となる。』
『卵もお肉も、鶏に対して「ご苦労様」という気持ちで食べて下さったら嬉しいです。』
『いつも買ってくださる方々に感謝。ありがとうございます。』
毎月、「三野養鶏場通信」を卵の購入者に向けて発行し、情報発信をされております。
私たちの食生活に欠かすことのできない卵と養鶏のことについて色々と学ぶ事ができます。
三野さんに「オススメの卵の食べ方はありますか?」と聞いてみたところ。
「やはり卵かけご飯ですね」とのこと。
三野さんのレモン色のシンプルな味わいの卵が気になった方は、ぜひお試しください。
関 奈央弥
京丹後市・網野町出身
栄養士として東京で活動する傍ら、地元丹後の美食材にフォーカスした「tangobar」を立ち上げ食育を通じて新しい風を巻き起こしている。生産者にしっかりと向き合いストーリーを伝える活動は、次世代の姿であり、今後の活躍がとても楽しみな1人でもあります。