縄屋のおせち料理「丹稲(たんとう)」。
風呂敷から取り出し、一文字に結ばれた楮をほどく。
手すき和紙をとり、蓋をあける。

新年あけましておめでとうございます。PARANOMADデザイナーの原田美帆です。本年もTHE TANGOから丹後にまつわる福をお届けいたします。丹後へ寄せる心を皆さまと共にできましたら幸いです。

ゆずり葉と突羽根に寄せて
干し葡萄と干し柿の松葉刺し　柚子甘露煮

お重の真中に、青い葉と黒曜石の黒、鼈甲の黄が並んでいる。「代を譲るように葉が落ちるゆずり葉の封印を切り、宝箱をあけていただきます」。

玻璃の筒に
鮑　赤梅貝　赤大根　緑大根　金糸瓜
底には小熟れ鮓に白加治木漬

初春の慶を宿したように美しい色をまとう一品。盛夏のころ、ガラス作家 荒川尚也氏に器の依頼をする。その器を囲うのは、積み木に見立てたお重。姿を現した硝子の煌めきが、墨色をした冬の丹後に眩しい。

こっぺ蟹　赤座海老　車海老　青味大根塩麹漬　三色膾　数の子　太刀魚龍皮昆布巻　柳鰆生寿司　鯛松皮造　蛸　紅芯大根

えんどう豆金団　黒豆金団　冬菇椎茸　栗渋皮煮

別添えで　唐墨　田作り
真魚鰹味噌漬　甘鯛幽庵焼　よよし味噌漬　黒鰈風干し　鰆塩焼　淡海地鶏八幡巻

柚子釜にこっぺ蟹の外子と障泥烏賊の松前漬　紅白雪花蕪

鳥松風　蓮根豊年煮　大根大名煮　筍　鱒山椒煮　海老芋　金時人参　安納芋金団　紫芋金団

粟麩のみたらし胡麻と荏胡麻　鰻の昆布巻

丁寧に世話をされた自家製野菜。地域の山の恵みである甘草や突羽根。信頼する漁師から仕入れた旬の魚。料理人 吉岡幸宣さんがひとつずつ集めた宝物が、積み木の中に満ちている。一年の無事と繁栄への祈りと共に。

やがて口福につながる、日々の営みがはじまる。

原田　美帆
与謝野町在住
インテリアコーディネーター・現代アートスタジオスタッフとして活躍し、2015年からは丹後・与謝野町に移住と共にデザインスタジオ「PARANOMAD(パラノマド)」を設立。織物は彫刻という独自の視点でカーテンを始めとしたテキスタイルを制作。また、マニアックな所まで的確にレポートするライターとしても活躍中。そんな彼女の美と食の記事は今後とても楽しみであります。PARANOMAD