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丹後の美と自然をまとう – 藤布「遊絲舎」part4 Wrapping the beauty and nature of Tango -Fuji cloth "yushisha" part4

かつて日本のどこでも織られていた植物布
少女からおばあさんまで みんな糸を績んだ
暖かいうちは縁側に 息が白くなったら囲炉裏に集まって

こんにちは、PARANOMADデザイナーの原田美帆です。「藤はゆっくり」。遊絲舎五代目小石原充保さんが呟くように、少しずつ進む藤の物語にお付き合いください。

丹後の美と自然をまとう- 藤布「遊絲舎」序章

丹後の美と自然をまとう- 藤布「遊絲舎」part2

丹後の美と自然をまとう- 藤布「遊絲舎」part3

小川でフジコキを終えた藤のアラソは、その日のうちに「ノシイレ」を行います。ぬるめのお湯に米ぬかを溶いたところにアラソをくぐらせ軽く絞る。空中で数回、はたいてほぐしたものを陰干ししておく。「ノシイレに使う米ぬかは新鮮なものを使います。そうしないと柔らかくならなくて」。米ぬかに含まれる油分と粒子がまとわれて、アラソは柔らかく保たれます。

乾いた後はほとんど変化することなく長期保管が可能になるため、昔から寒くなる前に冬仕事の蓄えを作っておいたそう。しかし現在は藤の採取も難しく、蓄える間もないと遊絲舎代表 小石原将夫さん。以前はまっすぐ伸びた蔓が曲がるようになり、質の良い繊維も取れなくなってきたのです。元気を失いつつある里山の姿が藤に現れていました。危機感を覚えた将夫さんは、2009年から藤の栽培に取り組んでいます。それから約10年。幾多の試行錯誤の結果、2018年にやっと60本の藤蔓を採取されました。「来年も元気に芽吹きますように」。願いながら藤の手入れを続けています。


ノシイレ後のアラソ

「フジウミ」。

藤の繊維の長さは1メートル前後。これを長く繋いで、一本の糸にする作業のことを指します。乾燥したアラソをコウバシでしっかり扱くと余分な米ぬかが落ち、解れて柔らかく、裂きやすくなる。裂く時は繊維のアタマからスエに向かって。アタマは「根っこの方」、スエは「先端の方」を意味します。こうしないとケバがたち途中で切れてしまう。細く裂いた繊維の両端をさらにY字に裂き、もう一本の繊維も同じように裂く。全部で4本の繊維を人差し指と親指に平行に挟み、2本ずつを一まとめにして同時に自分の体の方向に撚りをかける。抑える位置を少しずつずらしながら先端までねじると、2本のZ撚りの糸ができている。

Z撚りとは、左向きに糸を撚った状態のことで、反対に右向きに撚った状態をS撚りと言います。2本の糸をひとまとめにして、向こう側にねじる。出来上がった1本の糸はS 撚りがかかるため、左向きに解けようとする力と右向きに解けようとする力が拮抗して、解けることがありません。ピンと張るとピアノ線を弾いたような硬質な音が響きます。不思議で面白くて、何度引っ張っても解けません。繊維の両端が、どんどん繋がれていきます。

「この作業は決して難しいものではないんです。大変なのは終わりがなく、ずっと続くということ」。糸績みの本質を言い表した、充保さんの言葉。嬉しい時も、悲しい時も、楽しい時も、辛い時も、人は糸を績んできました。布を織り、衣服を縫い、生活道具を作るために。そこにあるのは生活の営みだから、止まることはないのです。

績む・生む・産む。これは、自然に人の造形が加わった最初のかたち。ものづくりがうまれた瞬間のかたち。人がうみだした原始のかたち。

藤の長い旅は終章へ続きます。
原田 美帆
与謝野町在住
インテリアコーディネーター・現代アートスタジオスタッフとして活躍し、2015年からは丹後・与謝野町に移住と共にデザインスタジオ「PARANOMAD(パラノマド)」を設立。織物は彫刻という独自の視点でカーテンを始めとしたテキスタイルを制作。また、マニアックな所まで的確にレポートするライターとしても活躍中。そんな彼女の美と食の記事は今後とても楽しみであります。
PARANOMAD

INFORMATION

名称
遊絲舎
Name
yushisha
住所
京都府京丹後市網野町下岡610
Address
kyoto,kyoutangosi,amino-simooka610
URL
http://www.fujifu.jp/index.html
Url
http://www.fujifu.jp/index.html
名称 Name
遊絲舎 yushisha
住所 Address
京都府京丹後市網野町下岡610 kyoto,kyoutangosi,amino-simooka610
URL Url
http://www.fujifu.jp/index.html http://www.fujifu.jp/index.html