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人も神様も焦がれた一日 三河内 曳山祭 Migochi Hikiyama Festival

おーい おーい おーい
加悦谷に木霊する声が お姫様を呼びにいく
織物の神様と手をとって 二人で祭に加わるんだそうな

こんにちは、PARANOMADデザイナーの原田美帆です。一年に一度のお祭は、子どもからお年寄りまで待ちに待った日。人々の表情は高揚して、頰は日差しとお接待で赤く染まります。「どでさっさ どでさっさ」。子ども屋台から元気いっぱいにかけ声が響いてきました。

与謝野町例祭の一つ「三河内(みごち) 曳山祭」は京都府登録無形民俗文化財にも登録された祭です。6基の山車には織物文化を象徴する豪華絢爛な「見送り(山車の背にかけられる幕」や「胴幕」がかけられ、長い行列が街道をゆっくりと進みます。織物の神様「天羽槌雄神(あめのはづちおのかみ)」を祀る倭文(しどり)神社へと向かう途中、水路の周りに人が集まっています。

 

「おーい おーい おーい」

 

三度の呼び声が水路の流れに乗って、田んぼの広がる加悦谷へと消えてゆきました。他に祝詞や歌もなく、ただ大きな声で呼びかけるだけです。「神招ぎ(かみおぎ)」と呼ばれる儀式は、一体誰を呼んでいるのでしょうか。

三河内に伝わるむかしばなしの はじまりはじまり

天羽槌雄神(あめのはづちおのかみ)は 野田川をはさんで向うがわの明石(あけし)にある
須代神社の須勢理姫(すせりひめ)と夫婦だったそうな

二人はとっても仲が良かったそうな

しかし はげしい歴史のなかで

須勢理姫は 大きな力を持った 大国主命(おおくにぬしのみこと)の妃となり

二人は はなればなれに なってしもうた

天羽槌雄神は それはそれは かなしんでおったそうな

「ああ なんということだ いとおしい須勢理姫よ

これほどに思っているのに会えないなんて

おーい おーい おーい 須勢理姫よ 聞こえるかー」

いくら さけんでも 二人はもう 会うことはできなかったそうじゃ

しかし まいにちまいにち かなしんでおる須勢理姫を見かねて

心のやさしい大国主命は 一年に一度 会うことを おゆるしになったそうな

それで この三河内の曳山祭りでは

須勢理姫を お呼びする儀式があるそうな

毎年のお祭りで

「おーい おーい おーい」

と聞こえたら このお話を思い出してえよ

一年に一度、祭りの日。人々は織物の神様の愛おしい人、須勢理姫を祭にお招きしていたのです。対岸の須代神社でも社の扉を開けて、お供え物をして天羽槌雄神と出会われる準備を整えています。

日が暮れて提灯に明かりが灯る頃、子ども達のかけ声は一層大きくなる。「どでさっさ どでさっさ」祭の終わりを感じて、最後とばかりに想いが高まっていく。「どでさっさ どでさっさ」終わらないでほしい、私たちの祭、私たちの誇り。「どでさっさ どでさっさ」また一年、この日に焦がれる。「どでさっさ どでさっさ」さようなら、愛おしい人。また来年、きっと会いに行きます。

・引用 「三河内のむかしばなし」(制作 平成21年度三河内小学校PTA母親委員会)

原田 美帆 与謝野町在住
インテリアコーディネーター・現代アートスタジオスタッフとして活躍し、2015年からは丹後・与謝野町に移住と共にデザインスタジオ「PARANOMAD(パラノマド)」を設立。織物は彫刻という独自の視点でカーテンを始めとしたテキスタイルを制作。また、マニアックな所まで的確にレポートするライターとしても活躍中。そんな彼女の美と食の記事は今後とても楽しみであります。
PARANOMAD

 

INFORMATION

名称
三河内 曳山祭
Name
Migochi Hikiyama maturi
URL
https://yosano-kankou.net/event/
Url
https://yosano-kankou.net/event/
名称 Name
三河内 曳山祭 Migochi Hikiyama maturi
URL Url
https://yosano-kankou.net/event/ https://yosano-kankou.net/event/
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