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自然と人のあいだに 染織工房「山象舎」堤木象と東かおり part5 Dyeing studio “Sanzosya” Mokuzo and Kaori part5

ふたりはひとつになろうとしていた
山から色と糸をいただいて
自然とひとつに

ふたりはひとつになろうとしていた
織物に魅入られて 職人と交わり
産地とひとつに

こんにちは、PARANOMADテキスタイルデザイナーの原田美帆です。山象舎の二人が丹後の織物事業者たちと歩んだ30年の物語。ここから先の頁には何がまっているのでしょうか。本編と合わせてpart1から4もどうぞお読みください。

自然と人のあいだに 染織工房「山象舎」堤木象と東かおり part1

自然と人のあいだに 染織工房「山象舎」堤木象と東かおり part2

自然と人のあいだに 染織工房「山象舎」堤木象と東かおり part3

自然と人のあいだに 染織工房「山象舎」堤木象と東かおり part4

薪ストーブにくべられた杉の葉がオレンジ色の炎となってガラス窓に映っている。「もう年季ものだよ」。ところどころに修繕が施されたストーブの面倒を見ながら堤木象さんが言った。東京から丹後にやって来て30回目の、雪のないあたたかな冬。

これから山象舎が歩む道について聞こうと思っていた。「作り続けていくのは簡単なことじゃない。もう飽きちゃったかもね」。次の作品について訪ねた形式張った質問を、木象さんの冗談が飲み込んでいく。そうだった、この人は自身の作品が先に立つのではない。「自他の区別をつけない」。取材を通して何度も聞いた言葉であり、生き方だった。どの道に進むのか、自分の意思だけを言葉にまとめてしまうなんて意味がないこと。木象さんは、かおりさんの方をちらりと向いて言う。「僕は作品づくり半分、村づくり半分でやっていきたい。人との関わりは収入にはならないことだけどいいかって。結婚するとき、言ったんだ。」


2019年11月京都高島屋にて開かれたTANGO+展

東かおりさんは穏やかな表情ひとつ変えずに、そうだったねと頷いている。あぁ、この人もそうだった。「調和のとれた世界を創ることに、使ってもらえるようになりたい」。そう書かれたかおりさんのテキストを目にしたことがある。

山がもたらす色は、山が育てる。ふたりは、その色をあるがままにいただく。

産地の歩む道は、産地の仲間たちが切り拓く。ふたりは、その道づくりに心と身体を寄せる。木象さんとかおりさんは、制作を通して山になり産地になってきた。山象舎の産み出す衣は、鏡のように丹後を映し出してきたのだ。


東かおりさんによる手織半幅帯

30年前、少年だった子どもたちは産地を背負って立つ機屋になった。「もう少し頑張ろうかと思う。老婆心ながら、何か彼らの役に立つことができればってね」。かおりさんの言葉が続く。「それにね。若い頃に助けてもらったご夫婦から、私たちがしたことは若い人に返してねと言われたの」。

丹後産地の歩む道が、美しいものでありますように。堤木象さんと東かおりさんは、私たちと手を繋いで歩き続ける。


染織工房「山象舎」堤木象さんと東かおりさん

原田 美帆 与謝野町在住
インテリアコーディネーター・現代アートスタジオスタッフとして活躍し、2015年からは丹後・与謝野町に移住と共にデザインスタジオ「PARANOMAD(パラノマド)」を設立。織物は彫刻という独自の視点でカーテンを始めとしたテキスタイルを制作。また、マニアックな所まで的確にレポートするライターとしても活躍中。そんな彼女の美と食の記事は今後とても楽しみであります。PARANOMAD

INFORMATION

名称
山象舎
Name
Sanzosya
住所
京都府京丹後市網野町浅茂川1077
Address
kyoto,kyotango,amino,asamogawa1077
URL
https://tangoopen.jp/textile/山象舎/
Url
https://tangoopen.jp/textile/山象舎/
名称 Name
山象舎 Sanzosya
住所 Address
京都府京丹後市網野町浅茂川1077 kyoto,kyotango,amino,asamogawa1077
URL Url
https://tangoopen.jp/textile/山象舎/ https://tangoopen.jp/textile/山象舎/
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