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コロナ禍に想う産地の未来 株式会社吉村商店 Yoshimura Shoten Co., Ltd., the future of the production area that thinks of the corona

愛らしいアマビエがデザインされた絹織物
そこには 疫病退散の祈りと
産地の未来を想う心が込められています

こんにちは、PARANOMADテキスタイルデザイナーの原田美帆です。京丹後市峰山町の目抜き通りに佇む、格子窓の美しい建物。ここは株式会社吉村商店 峰山支店、創業1830年の織元です。


株式会社吉村商店7代目 吉村隆介さん

「丹後にとってはチャンスになり得ると思っています」。コロナ禍の厳しい状況にありながら、7代目 吉村隆介さんは産地の可能性を信じ、新しい一手を打ち出しました。それが吉村商店初の自社商品、アマビエのマスクとマスクケースです。「店頭やオンライン販売をきっかけに、次世代のお客さまと繋がりを作りたい」。故郷にUターンして5年、隆介さんの想いを話していただきました。

「小学生の頃は、この辺りも賑わっていたんですよ。レコード屋、パン屋、寿司屋、なんでもあって」。賑やかな町の中で、吉村商店は丹後産地の白生地製造販売、浜松や桐生など他産地の反物販売、生糸販売を手掛けていました。「店では従業員が遊んでくれて、工場はとても賑やかだった」という風景は、大学卒業の頃には大きく様変わりしていました。通りは静かになり、工場も一部を閉鎖。「丹後に戻る気は全くなかった」隆介さんは東京の運送会社に就職します。

30代後半に入り管理職にもなった頃、ある上司を実家に案内する機会が訪れました。アパレル業界に興味があったという上司の「ちりめんの製造現場を見てみたい」という一言が、隆介さんの運命を動かし始めます。工場と実家を回った上司からの「お前には、サラリーマンよりやるべきことがあるんじゃないのか」という言葉が、隆介さんの心を家業継承へと向かわせたのです。その後の正月には、先代から「だれか継いで見る気はないか」と初めて事業の話が出ました。先代が家業を引き継いだのは丹後産地が活気のあった昭和43年。そこから数年のちの49年をピークに今日まで45年間、生産量は減り続けました。「フッとした一言でしたが、父なりの精一杯の伝え方と分かったんです」。そう気がついた隆介さんは、半年悩んだ末、継承を決意します。


屋号が染め抜かれた暖簾

「それまで家業のことを何も知らなくて」。吉村商店は京都市内に本店を構えていますが、訪れたこともなく経営状態も知らなかったそうです。当時の所有織機台数は187台、織り手は45人、平均年齢は60歳を超え、「京都本店」と「峰山支店」、昭和29年に独立した製造部門「吉村機業株式会社」の役割と関係性…初めて知る自社の状況は、明るいとは言い難いものでした。そこから、少しずつ呉服業界の慣例にとらわれない試みを始めます。
丹後は京都・室町への卸売を主とする白生地産地。お客様への直接販売は、ひと昔前はタブーとも言える行動でした。しかし問屋も商いが小さくなる時代になり、メーカーが最終商品まで手がける流れが生まれ始めていました。吉村商店は、何百種類という豊富な白生地の取り扱いを生かし、色無地のオーダー販売を開始します。好きな柄に色を選んで染め上げる。価格はなんと4万8千円から。仕立て代を加えても約8万円で自分だけの着物が誂えられるのです。


吉村商店の白生地は白壁の蔵に守られている

「若い人の視野に着物が入ってくる仕組みを考えています。そのためには、20~30代の方が着物を着たいと思った時、選んでもらえる柄も必要」。着物市場の顧客層は60~70代が主流ですが、そこで扱われる伝統柄ではなく、現代的なデザインも取り入れていきたい。3年前からは、着物専門学院の学生によるデザイン開発にも取り組んでいます。「だって、クラウンやベンツしかなかったら若い人は車に乗れないでしょう。軽自動車やコンパクトカーなど、車なら選べるようになっています」。


ユーモアやアイデアに溢れた生地

2020年は法人設立100年にあたる吉村商店。7代目になり4年が経った隆介さんは、改めて先代の歩んだ道に想いを馳せています。「あの正月の一言。厳しい時代を耐え抜いた父が、ようやく安定しつつある状況を鑑みて話してくれたんだ。あとは私がやるしかない。シルクに囲まれてきたのだから、それを繋いでいきたい」。世の中が目まぐるしく変わる時代に、これまでの慣習が変えられるかもしれない。次の100年に向かって、どんな輝きを織りなしていくのでしょうか。

原田 美帆 与謝野町在住
インテリアコーディネーター・現代アートスタジオスタッフとして活躍し、2015年からは丹後・与謝野町に移住と共にデザインスタジオ「PARANOMAD(パラノマド)」を設立。織物は彫刻という独自の視点でカーテンを始めとしたテキスタイルを制作。また、マニアックな所まで的確にレポートするライターとしても活躍中。そんな彼女の美と食の記事は今後とても楽しみであります。PARANOMAD

INFORMATION

名称
株式会社 吉村商店
Name
Yoshimura shoten
住所
京都府京丹後市峰山町浪花17番地
Address
Kyoto kyotango mineyamacho namihana17
URL
http://yoshimura-shouten.jp
Url
http://yoshimura-shouten.jp
名称 Name
株式会社 吉村商店 Yoshimura shoten
住所 Address
京都府京丹後市峰山町浪花17番地 Kyoto kyotango mineyamacho namihana17
URL Url
http://yoshimura-shouten.jp http://yoshimura-shouten.jp
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