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鋼の道に立つ青年たち 日本玄承社 後編 Young Men Standing on the Steel Road Nippon Genshosha Part 2

火を焚き灰を溶き
槌を振り下ろす一瞬
古代から続く鋼の道が現れる
伝統をつなぐ
かけがえのない一筋

刀から日本の伝統文化を想う。3人がそう考えるのはごく自然な流れでした。例えば、玉鋼は良質な砂鉄が採れる島根県で製造されています。江戸時代まで全ての鉄製品は玉鋼から作られましたが、今日では現代的な製鉄方法に変わっています。古式製法による製鉄は不純物が少なく鍛造性などに優れますが、現在それを扱えるのは刀鍛冶だけになりました。

玉鋼の炭素量は断面から判断します

工程の最後に行われる研ぎ出しにおいても、日本ならではの特徴があります。「刀鍛冶の研ぎは“切れる”ところまで。研ぎの職人は鋼の質感を表現する“美術品”として研ぎます。良質な天然砥石が採れたのは日本だけと言われ、観賞に耐えうるほどの研ぎが発展したのです」。刀身に紡がれたものづくりの原点とも言える歴史に加え、ステータスシンボルとして柄(つか)や鞘など装飾工芸も大きく発展させてきました。

制作に使われる道具 藁灰は地元農家のものを使用

「1年くらいは独立について話しあったと思います」。東京駅から1時間の範囲と決めていた工房の場所探しは、コロナ禍によって大きく変わりました。なかなか理想の場所が見つけられない中、公輔さんは祖母の家があった丹後を思い出します。小さい頃の夏休み、よく丹後に帰省していたこと、織物工場のおじさんが相手をしてくれたこと。そのおじさんは、螺鈿織を開発した民谷螺鈿*の民谷勝一郎さんでした。移住を検討して勝一郎さんを訪ねると「なんでも手助けするよ」と本当に親切に対応してもらったそうです。丹後にまつわる土地の話にも、3人は引き込まれたでしょう。丹後には大江山をはじめ古代製鉄場の遺跡があり、鉄にゆかりのある土地でした。海外販売を目指していることを伝えると、丹後織物の海外展開に注力している息子の共路さんを紹介されます。さらに多くの人と繋がりネットワークも築かれ、丹後しかないという確信を高めていきました。そして2020年11月、オリンピックが延期された年に丹後へ移住を決めます。

結界が張られた工房

「自分たちの世代の刀を作り出していきたい」。大きな構想を持って進み出した日本玄承社の3人に、目指す日本刀を尋ねました。日本刀には昔から流行の形があり、その時代にあった製造方法や模様が生み出されてきました。愛好家には鎌倉時代のものが人気ですが、修行を積んだ師匠の元には型や様式ではなく「今あなたが一番いいと思う作品を作ってほしい」とオーダーが入ったそうです。「昔の様式を模倣すると技術を高められます。僕たちは温故知新を大切に、今を写した日本刀製作がしたいと考えています」。その一つは、新しいインテリアとしての見せ方。ボックス型の鞄に見立てた展示ケースや、モダンな刀掛けなど現代のデザインに落とし込んだ提案を始めています。実際の鍛錬を見学できる観光事業も展開し、かつて自分たちが東京からやって来たように、丹後に人を呼ぶ流れも作りたいと語ってくれました。

「日本刀の性能を損なわないように守りながら、新しいコンセプトを取り込んでいきたい」。そう語る瞳はチャンバラに惹き込まれた少年時代のように、ひときわ輝いていました。

*古の美を現代に織り上げる 民谷螺鈿株式会社 も合わせてご一読ください

3人の青年が刀鍛冶になるまでをつづった

鋼の道に立つ青年たち 日本玄承社 前編 も合わせてお読みください。

原田 美帆 与謝野町在住
インテリアコーディネーター・現代アートスタジオスタッフとして活躍し、2015年からは丹後・与謝野町に移住と共にデザインスタジオ「PARANOMAD(パラノマド)」を設立。織物は彫刻という独自の視点でカーテンを始めとしたテキスタイルを制作。また、マニアックな所まで的確にレポートするライターとしても活躍中。そんな彼女の美と食の記事は今後とても楽しみであります。PARANOMAD

INFORMATION

名称
日本玄承社
Name
NIPPOM GENSHOSHA
住所
京都府京丹後市丹後町三宅314
Address
kyoto kyotango tango-cho miyake 314
URL
https://gensho.jpn.com
Url
https://gensho.jpn.com
名称 Name
日本玄承社 NIPPOM GENSHOSHA
住所 Address
京都府京丹後市丹後町三宅314 kyoto kyotango tango-cho miyake 314
URL Url
https://gensho.jpn.com https://gensho.jpn.com
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