創業1936年。

以前は丹後ちりめんの白生地を製造販売してきましたが、時代の流れと共に地場産業でもある丹後ちりめんは最盛期の30分の1の生産量と40年間ずっと右肩下りの状態・・・

そんな状況の中、東京の建築会社に勤めていた三代目の楠さんは実家に帰省をした際、自社の職人が1越1越丁寧にモノづくりをしている姿に感動し日本人としてこの技術を残さなければならないと確信し、丹後に戻る決意をしました。

しかし織物業界が衰退していく中、自分の意思を貫き家業を継ぐ決心をしたが、丹後の地場産業が衰退して行く中、新たな手段で事業をしていくしか方法がなかった。

そこで、約2年間自社で織物の基礎を徹底的に学ぶと共に、新ブランドのコンセプト作りに日々の情熱を費やしました。

そこで出来上がったのが「伝統の織り技法で今のライフスタイルを」コンセプトに、伝統・ファッション・芸術の3つを融合させるブランド「KUSKA」(クスカ)

KUSKAは地場産業でもある丹後ちりめんの技法を活かし,糸づくりから染め・手織り・商品完成まで、すべての工程で職人の手作業にこだわったモノづくりが特徴です。

手織り

photo by Naoki Ono

最大の特徴は「手織り」。

手織りは素材に空気を含ませて織ることで、機械織りに表現出来ない立体的な風合いを出すことができます。

KUSKAのディレクターでもある楠さんは「表面的なデザインではなく、本質的なデザイン」とこの手織りの事を表現し、「機械織りは平面的な二次元の世界、手織りは立体的に織ることで三次元の世界を作り出している」とも言う。

そんな工房では、常に10台以上の手織り機が稼働し、手織り職人はシルクと会話をするように一越しひとこし糸を織り進めている。

「その時の糸や気候、気温によって同じものでも織り方は変わります。 腕、足、目、感覚、全てを使いないがら職人はゆっくりと素材にストレスをかけないように糸を織ることによってKUSKAの手織りは完成します。」と熟練の職人さんは言う。

ちなみに熟練の職人でも1日にネクタイ2～3本程度しか織る事ができないというから、その希少性は特別だ。

テキスタイル Textiles

photo by Toshihiko Mayumi

KUSKAの手織りではフレスコ、ジャガードなど様々な織り技法のテキスタイルを作り上げています。この技法も全て地場産業で培った丹後ちりめんの技術を応用している。

KUSKAのテキスタイルは今のライフスタイルに合わせるのはもちろんのことですが「手織りの良いところをどうしたらだせるのか？」「手織りでしか出せないデザインとは？」を大事にしてデザインされている。

つまりどのテキスタイルも手織りにしかだせない風合いを感じてもらえる様にデザインしているといえます。それぞれのテキスタイルにKUSKAの「デザイン」と「手織り」ヘの思いが込められているのです。

縫製

photo by Toshihiko Mayumi

特殊なKUSKAの生地だけに、機械では縫製が出来ず、熟練の職人が布をカットし、表地で芯地を包み優しく手で撫でながらネクタイのカタチを作り、1針1針ゆっくりと手で縫っていきます。

特にフレスコ生地はメッシュ組織の為、ネクタイの中でも一番縫製が難しく、丁寧な仕事と熟練の技が必要です。また裏地も、少しネップの入った裏地を使用し、独自の質感が特徴。

そんなKUSKAのネクタイのブランドタグには「ALL HAND MADE IN TANGO」のタグが付いています。

ALL HAND MADE IN TANGO

これがまさしくKUSKAの品質の証です。

KUSKAのネクタイは、今では銀座４丁目のシンボル銀座和光や大手セレクトショップのユナイテッドアローズ、老舗百貨店のネクタイ売り場やANAの国際線機内販売などで展開されています。

2017年からはイタリア・フィレンツェで年に２回開催される世界最大のメンズ服飾展示会「PITTI UOMO」にも継続出展を果たし、日本の伝統技術で世界と勝負している。

「丹後から世界に」

これがKUSKAの合言葉です。

Taku Kishimoto
東京のIT会社で経験を積み、KUSKAのWEBコンテンツをサポートしている。2018年からは拠点を長野に移し、今度は木工にもチャレンジしながら、新たなライフスタイルに挑む。