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美味しさの裏側にある、「作り手」のストーリー Vol6. 丹後弥栄の米農家~Hands Farm 隅野さん~ Rice Farmer -Hands Farm Sumino-Vol.6

丹後の中でも山や田畑が多い『弥栄』
この弥栄で農薬を使わない農業をされているHands Farm隅野さん

米を中心に、自家消費の野菜も含めると年間70種類ほどの作物を栽培している農家さんである

隅野さんは9年前に、地元である弥栄に戻られて新規で農業を始められた。農業をする前は、岡山にあるデザイン会社で、日々PCに向き合って仕事をしていた。

しかし、ある時「土に近いところで仕事をしよう」と考え、農業をすることを決意。ご実家が元々自家消費用のお米を栽培されていたこともあり、丹後に戻り、実家の田んぼを使った米作りと野菜作りの勉強をスタートされた。元々農業をしていた訳ではなかっため、就農当初は近くの大規模農家さんのところのアルバイトをはじめ、農業に取り組まれた。当時アルバイトをした先では、にんじんや玉ねぎの慣行栽培を大規模で行っていた。しかし、慣行栽培に携わる中で、「農薬を撒く作業をするとドキドキする」という経験をされ、農薬を使った農業について疑問を抱くようになった。
その時に、近くでオーガニック農家をされている『梅本修』さんと出会い、時間がある時に足を運んでは、梅本さんの元で野菜作りについて学ぶようになった。野菜作りは梅本さんの元で、米作りに関しては独学で学び、農業に取り組まれていった。

ここからは、隅野さんのお米作りについて、ご紹介させていただきたい。隅野さんは、現在野菜が1ha、お米が2.5haの面積で農業をされている。*1haは100m×100m
そして、お米は現在3種類の栽培に取り組んでいる。

メインは美味しいお米の代表格である『コシヒカリ』。そのコシヒカリに加え、現在あるお米の品種の親にあたり、大粒で美味しい『旭四号』と『古代米』を少し栽培されている。『旭四号』という品種は、昔はたくさん作られていたが、機械化や農薬・化学肥料の登場により、現代では作りづらいという理由で作られなくなっていった品種である。隅野さんは、6年程前より、この『旭』を選別していった『旭四号』を復活させ、次へのバトンを繋げていっている。コシヒカリと旭では、生育期間にも少し違いがある。旭はコシヒカリに比べると、ゆっくり成長する品種である。そのため、稲刈りのタイミングも、1ヶ月ほど差が出てくるようだ。

隅野さんの米作りは、毎年4月5日頃からスタートする。最初の作業は、稲種の選別をすること。その後、選別した良い種を使って、4月15日頃から苗の栽培をされる。
隅野さんは、お米を農薬を使わずに作るにあたり、苗の栽培期間を長く取っている。理由は、田植え時点での雑草対策のためだ。無農薬で育てるためには、慣行栽培を行うより、最初の時点での田んぼの水かさを増やさなけれないけない。そのため、苗が水に埋まらぬよう、栽培期間を長くとり、苗を大きくしてから田植えをされている。

苗は、種まきからだいたい45日~55日をかけてゆっくり育て、6月1日~10日頃にかけて田植えを行うそうだ。そして、田植えが終わると、無農薬の米作りで一番大変な作業『チェーン除草』が始まる。

6月いっぱいをかけて、田んぼの中をチェーンをひいて歩き回る。隅野さんは、全部で20枚の田んぼを管理されているが、最低でも3日に1回の頻度でチェーン除草を行わないと、夏場に雑草が繁殖してしまうそうだ。
この時期は、休みなしでチェーン除草に臨まなければいけない。毎日毎日行うことを考えると、とてつもなく体力のいる作業だ。6月が終わり、7月~8月にかけては、田んぼ周りの草刈りや、水の管理を行い、稲刈りに備えるそして、9月に入るといよいよ稲刈りである。毎年だいたい、中秋の名月頃にコシヒカリの稲刈りがスタートする。

9月に入ると丹後では日中と夜の寒暖差が出てくるのだが、この寒暖差が、美味しいお米が出来ることにつながるそうだ。そして毎年なぜか、お米ができるタイミングが中秋の名月頃になるとのこと。月とお米の関係、月と自然との関係はなんとも不思議なものである。稲刈りをした後は、乾燥機でお米を乾かす方も多いようであるが、隅野さんは風だけを当てて乾かすようにしている。
風だけで乾かすことで、種を生きたままの状態で乾燥させることができる。こうして、来年使用する分の種を取っているのだ。隅野さんのお米づくりの細かい作業について伺っていると、時間がかかったり、手間もかかったりする作業が多々あるということが分かった。

美味しいお米づくりには、やはり、美味しい理由があるのだなと思った。隅野さんは、今後もお米をメインとした農業に取り組んで行かれるようだ。
私も普段から、隅野さんの『旭』をいただいている。

最近、玄米でお米をいただいており、ぷちぷちした食感も美味しく、よく噛んでいただいている。今回隅野さんのお話を伺い、思いや細かい作業の数々を聞くことで、ぷちぷちした玄米を、もっと噛み締めて食べたくなった。

関 奈央弥 京丹後市・網野町出身
栄養士として東京で活動する傍ら、地元丹後の美食材にフォーカスした「tangobar」を立ち上げ食育を通じて新しい風を巻き起こしている。生産者にしっかりと向き合いストーリーを伝える活動は、次世代の姿であり、今後の活躍がとても楽しみな1人でもあります。

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