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1マスから広がる無限 江原産業株式会社 Infinite spreading from 1 mass,EBARA.co.ltd

絹の艶が美しい織物 奥に見えるのが設計図「紋紙」

なめらかな曲線と陰影の美しい絵画

近づいてみると無数のマス目が並び

1マス1マスが朱色の筆で塗りつぶされています。

 

こんにちは、PARANOMADデザイナーの原田美帆です。

織物の設計図「紋紙」。絵師が描いた図案を織機の仕様に合わせて図面に落とし込み、糸に置き換えて表現する職人や事業所のことを紋紙屋と言います。糸が美しく輝くように、肌触りや風合いが生かされるように、機械の動きに負担がかからないように…経験と知識と感性が込められた技術。


江原産業株式会社代表取締役 江原英則さん

江原産業株式会社は昭和25年に江原紋工所として創業しました。現代表取締役 江原英則さんの祖父が「筆一本で始められる」と紋紙製作を開始。昭和38年には織機も導入し、製織工程までを手がけるようになります。「織物だけに限定せずいろんな事業の可能性を試みて、大きな産業を生み出すように」と願いを込めて江原産業と名付け、株式会社化されました。


紋紙に穴をあける「パンチマシーン」。産地全体としても貴重な設備。

「紋紙」は硬い厚紙に穴を開けたパンチカード。ジャカードという装置が穴の空いている、空いていないを読み取り、織機に指示を送ります。その仕組みはまさしく0と1で判別する最古のコンピューター。やがて厚紙はフロッピーディスクからUSB、SDカードなど時代に合わせてフォーマットを変えていきます。ですが丹後の半数以上の機屋さんではパンチカードの紋紙が現役で稼働中。物理的な仕組みで機械を動かす方が何かあった時に修正しやすく「人に近い存在だから」と教えてくれたのはこの道43年のベテラン山本泰典さん。紋工所としてスタートした江原産業株式会社の強みは、何と言っても自社でデータが作れること。「だからこそ見本作りも早いし、お客さまの要望に応える提案ができます」。パソコンでデータを作れるようになった近年は自ら紋紙データを作る機屋も少なくありません。しかし餅は餅屋、紋紙は紋紙屋。複雑な組織を駆使して描き出す紋紙は完成度が違います。その技術の手ほどきを受けているのは今年から紋紙デザイナーとしての道を歩み始めた岩田真美さん。大阪でプロダクトデザイナーとしてキャリアを積んでからUターンされました。若手の職人は伝統産業を次世代に引き継ぐためにも重要な存在で、丹後に限らず高齢化が進む織物産地において深刻な課題でもあります。


山本泰典さんと岩田真美さん

製織現場では30代と40代の織り手に、機械直しから準備工程までこなせる40代と50代の職人…たくさんの若い社員が機械を操作していました。

さらに、この日行われていたコンクリートの流し込み。これから導入する織機のための準備です。「若い職人と新しい織機を入れ、これからも事業を発展させていく意思を示しました。その覚悟が今後も続けていく会社として評価に繋がり、良い広報にもなりました」。このような光景はなかなか見られるものではありません。

小学校6年生の時には、僕が継ぐと宣言していた英則さん。けれど不況の煽りを受けた織物業は厳しく、Uターンしたものの一時は家業から離脱。父親の他界をきっかけに腹を括り、お客さまに喜んでもらえるものづくりは楽しいと原点に返ってきました。「僕が社長になって2年。人を育てるシステムが出来て、全体のレベルもスピードも上がって、続けていく体制が整った手応えがあります」。自ら120台もの織機の稼働状況を管理し、海外にある工場への差配もする英則さん。1反から1000反以上の受注を受け、自社が持つたくさんの種類の織機の中から適したものを選び、見本を作って生産をかけて。聞いているだけで目が回りそうです。


「江原緞子(どんす)」と呼ばれ一躍有名になった5枚朱子(しゅす)という艶が特徴の織物

「人と出会わなければ何も始まらないし、何も出来ません。うちに来てくれた社員さんや丹後の次の世代に夢を見させてあげたい。ちりめんや織物の仕事がしたいと思うような業界にしたいですから」。どこまでも前向きな理念が海外市場の扉も開こうとしています。

海外に拠点を置く日本に惚れ込んだ取引先から、丹後中の機屋の年間生産量を合わせたような発注の相談が舞い込みました。普通なら規模が合わないと断ってしまう状況ですが、自社工場に織機を導入し協力工場のネットワークを拡大。現状の生産量で始められる注文から取り組もうと駆け回っています。


多種多様な江原産業の反物

「ここから再び、丹後産地を盛り上げていきたいと思っています」。
今まさに、大きな産業が姿を表そうとしています。

原田 美帆
与謝野町在住
インテリアコーディネーター・現代アートスタジオスタッフとして活躍し、2015年からは丹後・与謝野町に移住と共にデザインスタジオ「PARANOMAD(パラノマド)」を設立。織物は彫刻という独自の視点でカーテンを始めとしたテキスタイルを制作。また、マニアックな所まで的確にレポートするライターとしても活躍中。そんな彼女の美と食の記事は今後とても楽しみであります。PARANOMAD

INFORMATION

名称
江原産業株式会社
Name
ebarasangyo
住所
京都府与謝郡与謝野町字算所30-1
Address
kyoto,yosanocho,anjyo,30-1
URL
http://ebara-sangyo.jp
Url
http://ebara-sangyo.jp
名称 Name
江原産業株式会社 ebarasangyo
住所 Address
京都府与謝郡与謝野町字算所30-1 kyoto,yosanocho,anjyo,30-1
URL Url
http://ebara-sangyo.jp http://ebara-sangyo.jp
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