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丹後テキスタイル meets the World Tango Textile meets the World

樹々の命を宿したコート
白生地の美しさをまとうドレス
空間の質も変えてしまうほどのインテリア
多種多様な織物が紡ぐのは 深い歴史と遠い未来

こんにちは、PARANOMADデザイナーの原田美帆です。2020年に「丹後ちりめん創業300年」を迎える京都・丹後。古くから織物の里として栄え、きもの文化と共に発展してきました。繊維の女王・絹を扱う技術、惜しみない素材使いと手間、時代の粋を集めた意匠…和装産地だからこそ築き上げることのできた技と感性を軸に、世界が注目する織物産地へと変化しつつあります。


会場を彩るアートドレス

2019年6月、阪急うめだ本店ギャラリーで開催された「丹後テキスタイルmeets the World」では、アーティストやデザイナーとのコラボレーションアイテム、海外市場へ向けて開発された製品がエントランスを飾りました。このイベントのために企画された、丹後ちりめんの反物ドレスや一般公募のアイデアから制作した着物と帯も並び、来場者を出迎えます。「丹後といえばちりめんしか知らなかった」「織物はこんなにいろんな表現ができるの」。進化する産地の姿に驚き、美しい製品にため息をつく人があふれた一週間。


特別参加 河原シンスケ氏による作品


パリの見本市に出展されたインテリア

そして、会場には次世代を担う職人たちが一堂に会しました。着物の新しい世界を提示したのは「民谷螺鈿」。貝殻の螺鈿を織り込んだ帯や、引き箔の技術を使ったシルクレザーの鞄やブレスレットなど新製品も登場しました。続いて「遊絲舎」。藤の蔓から取り出した繊維から糸を作る「藤績み」の実演に、多くの人が引き込まれます。思わず目を奪われる鮮やかな色無地と歌舞伎役者坂東玉三郎さまお好みの色で染めた反物を展開したのは「織元たゆう」「吉村商店」「篠春織物」。草木染めを行う「山象舎」には四季を描いた帯揚げやヤシャブシで染め上げた着尺が並び、丹後の自然が現れているよう。男の着物の楽しみ方を見せたのは「柴田織物」と「コウジュササキ」。鉄板柄やカモフラ柄などユニークで現代的な着物、シルクニットの技術で作られた角帯や名古屋帯が新しい着こなしを提案しました。


遊絲舎 藤績みの実演


反物の美しさに息を飲みます

さあ、ファッションアイテムへ展開するエリアへ移動しましょう。「創作工房 糸あそび」は定番のリボン織のストールに加えて様々な風合いのシルクストールで絹糸の可能性を見せます。透けるほどに薄いシルクストールを艶やかに染め上げた「染色工房 嶋津」で美しい色彩のトラップに捕まって、すり抜けた先にはポリエステルちりめん製のポーチやがま口が待ち構えていました。「一色ちりめん」のかわいい小物と風呂敷はいつも女子の心をくすぐります。伝統的な鬼しぼちりめん製造の技術を持つ「山藤」は、ちりめんの風合いを活かしたストールを開発。「TE.ORI(テオリ)」と名のついたシリーズで、フランス人デザイナーが機屋の技術を魅せることをコンセプトにデザインしました。絽や紗の着物を製造する「安田織物」には透け感をグラフィカルに描いたデザインが提案され、職人はそれに応えてみせます。


染色工房 嶋津のストール


TE.ORI(テオリ)のストールも並ぶエントランス

最後にご案内するのは、丹後からの新しい風。飛び散る染料で丹後の自然を表現する「高蔵染」にはTシャツから帽子まで個性的なウェアが集合。会期中にはライブパフォーマンスも行われ観客を沸かせました。その隣には手織りネクタイの「KUSKA(クスカ)」が生み出した裂き織りのスニーカーが並んでいます。日本の伝統技術の新たな価値を発信する「ARLNATA(アルルナータ)」は丹後織物の魅力を洗練されたファッションに昇華させて。和裁士「谷奈津美」さんの縫い上げる手縫いのコートや白生地のワンピースは絹素材の上質さに満ちていました。タペストリーやベッドカバーに使える大判のテキスタイルを展示した「PARANOMAD(パラノマド)」はインテリアとしての織物を発信。


高蔵染とKUSKAによる展示


創作工房糸あそびと民谷螺鈿の生地を使用したARLNATAのシャツ

会場をぐるりと回って、織物の洪水に溺れてしまいそうでしょう。ひとつの産地に、これほど多様な機屋が集う場所は世界を探しても珍しいのです。これが丹後。千年の歴史を紡ぐ織物の里。2020年、私たちは300年の歴史の一部となり、次の300年に向かって機音を響かせてゆきます。

原田 美帆 与謝野町在住
インテリアコーディネーター・現代アートスタジオスタッフとして活躍し、2015年からは丹後・与謝野町に移住と共にデザインスタジオ「PARANOMAD(パラノマド)」を設立。織物は彫刻という独自の視点でカーテンを始めとしたテキスタイルを制作。また、マニアックな所まで的確にレポートするライターとしても活躍中。そんな彼女の美と食の記事は今後とても楽しみであります。
PARANOMAD

INFORMATION

名称
丹後 テキスタイル meets the World
Name
Tango Textile meets the World
URL
https://tangoopen.jp
Url
https://tangoopen.jp
名称 Name
丹後 テキスタイル meets the World Tango Textile meets the World
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