丹後が好きになる情報誌Bits編集長の京近です。これから私が紹介する丹後の1ページ。それは・・・
京丹後市久美浜町、久美浜湾を臨むロケーションに建つ“waterside cottage Heron”。レストランと雑貨ショップ、そしてツイン二部屋のホテルという施設です。
オーナーは須田悦子さん。関西発の情報雑誌として人気の“SAVVY”の編集長から転身、セレクトショップ“B-shop”の経営に参画、傍らショップのお客様に向けたリゾートスペースとして久美浜にレセプションガーデンをオープン。当初は神戸と久美浜を行き来されていたそうですが、後に移住して社長として従来のリゾートホテルとは一線を画すコンセプトワークと運営に手腕を発揮してこられました。
Heron staff
そんな須田さんが久美浜湾に注ぐ栃谷川河口近くに新しくオープンさせたのがHeronなのです。旧跡として有名な稲葉家の分家“お東さん”の隣、久美浜公園の目の前というこの場所に造ったのが2017年5月・・・。「造った」というのも、須田さんと地元の設計士さん、日本建築の木工事では代表的な工務店の建築士と棟梁はじめ、本格的な職人さん、そして多くの協力者の方々によるセルフビルドで1年以上かけて建てたのです。3年経ち、手作業で塗られた木の柿渋の赤茶色も落ち着いた茶色に変わってきています。
「ここ、田舎だから感じられることっていうのがあって、ひこうき雲をみてその軌跡だけを追うのか、飛んでいった飛行機にまで想いを馳せるのか、部屋の前の川に水鳥が来たことをただそのことだけを捉えるのか、嬉しいと感じるのか・・・そんな気づきが毎日を楽しくしてくれて、都会では溢れんばかりの情報があって、見たこともない宇宙のことまで知識として得ることもできます。でもここで感じたこと、内と外が包まれるような繋がり、ほっと抜け感のあるそんな想いをもってもらえたら」と。この施設だけで完結するとも思っていなくて、ここでの暮らしが描くさまざまなシチュエーションを感じてもらえるように考えているところなのだといいます。
この日の朝食
夕食のパエリア
「今、敷地内の畑で野菜やハーブを作っていて、とれた玉ねぎをそのままロースト。にんじんだってそのままピクルスに。でもそれが一番おいしい・・・。シンプルだけど“想い”にあふれたそんな暮らし、それを辿る旅。まだ始まったばかりです」と、笑って話してくださいました。
ショップで販売もしているジャムは地元の梨で手作り。果実感たっぷりで美味しい
20数年前にレセプションガーデンをつくる時に見た甲山から見た久美浜湾の景色。時間によって、季節によって静かに移ろう色を纏う様子。それを飾るのではなくあるがままに見せる。編集者だったからできたさまざまな経験の裏打、そしてカメラマンやライターの仕事をまとめてつくりあげるということ。それが今にも息づいているのだと須田さん。
ここに来れば今までと違う自分に出会えるかもしれません。“想う”旅、ご一緒にいかがですか。
SHOP INFO
1泊夕・朝食付き お一人様22,000円(税別)〜
京近 淳氏
京近淳デザイン事務所の代表であり、丹後の情報誌「Bits(ビッツ)」の編集長
丹後に暮らす独自の視点から、THE TANGOでは宿と酒蔵をレポートしていただきます。ぜひ、美しい写真と共にお楽しみ下さい。
趣味は「ブラックミュージックをこよなく愛するベーシスト。セッションのお誘い大歓迎」です。