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産地で営むわたしの暮らし KUSKA株式会社part2 My life in the production area KUSKA Part2

カシャン トン
カシャン トン

機音にただよう歌が聞こえてくる

カシャン トン
このネクタイはどんな人に届くのだろう

カシャン トン
今日の仕事もきっと誰かの特別な時間につながる

カシャン トン
機場があって 家庭があって 私の暮らしは続いていく

こんにちは、PARANOMADテキスタイルデザイナーの原田美帆です。産地に暮らす織り手を紹介するシリーズ、part1も合わせてご一読ください。

産地で営むわたしの暮らし KUSKA株式会社part1

入社12年目を迎えたベテラン職人。2008年、それまで主として動力織機でちりめんを生産していたクスカ株式会社が、手織りによる生産に一本化した時期に入社されます。「ネクタイ用の手機はまだ2台しかなくて」。当時を振り返って懐かしそうに話してくれました。「その頃は受注に合わせ、一週間や一ヶ月という短い期間で機にかかる製品が変わることもありました。みんなで力を合わせて納期に間に合わせていましたね」。現在では18台の手機が並ぶ工房で、この方はネクタイの機を担当しています。KUSKAでは9名の織り手がネクタイ・ストール・裂織などの製品を担当。織機も、それぞれ自分の機が決まっています。体格や力が一人ひとり違うため、その人のためだけに調整されているのです。


手機が並ぶ工房

「目指すのは完璧な商品です」。何年織り続けていても難しいと語る背景には、1日の中でも朝、昼、夜と時間帯ごとに変化を見せる絹糸の特性があります。わずかな湿度の変化にも反応する、まるで生き物のような素材。そして身体も機の一部であり、日々の変化がある。例えば緯糸を走らせる手のひと振りでも、風合いが全く違ったものになります。難しさは挙げればきりがありませんが、その変化を補正して織り続けるからこそ「一つとして同じものがないオンリーワンになるのかなと思っています」。

12年前には小学生だった子どもが成人式を迎えた時、晴れ姿を飾ったのはご自身が織り上げたネクタイでした。「その時に、改めて贈り物ということを考えました。ずっとこの気持ちで織り続けたいなと」。こころ暖まる物語を生んだ機から、これからも美しい織物が生まれてゆく。カシャン トン。

 

「長い絹織物の歴史の中で、いま織らせてもらっていることがラッキーだなって思います」。「この仕事に着く前にも、町内で手機体験を見かけて気になっていたんです。あの時にやりたかったことが出来ていることが、嬉しい」。愛情たっぷりと仕事の話をしてくれる職人。KUSKAへの入社は2018年、間も無く2年を迎えます。「入ってすぐ裂織りの練習を一週間しました。楽しすぎて、もう終わってしまったという気持ちを覚えています。それから製品生産に移っても、その楽しさが続いているんです」。裂織りとは古くなった着物などをほどき、糸状に細く切って緯糸として使う織物のこと。通常の糸に比べて太さがあるため、KUSKAでは研修でも使用しています。


裂き織り

KUSKAの織り手の多くは、小さい子どもを育てる母親世代。そのため、子どもの急病や行事などで時間差出勤をしたり、早退となることも。その時、一斉に鳴っていた機音は、少しだけ小さくなる。「機音の違いって、とても愛おしいんです。集中できるときは、先輩の機音を聞いていることが多いです。一人で織っている時の方が進まないんですよ」。自分のペースで進められる仕事だけど、個人ではなくみんなで織っている感覚だと教えてくれました。ベテランともなると、隣の部屋の機音からもその日の調子が分かるそうです。

今年に入って、経糸を作る整経場に研修へ行ったときのこと。何千本もの絹糸が空中に並び、ドラムへと集約されていく光景に「ここまでの繊細な仕事と、想像がつかなかったです」と驚いたそう。整経がなければ織物は出来ません。最後のいいところをさせてもらって幸せだと、さらに織物への愛が深まっていきます。10歳、6歳、3歳の子どもを育てながら職人の道を歩んでいく姿は、きっと子ども達にも伝わっているでしょう。カシャン トン。


何千もの糸がドラム(写真奥)に巻き付けられていく整経風景

最初は機に触れたこともなかった。それでも織りへと心惹かれていく様子に、機織りはひとにとって根源的な行為なのだと思わせられます。私たちは誰しも、はるか昔から受け継がれる機織りの記憶を持っているのかも知れません。カシャン トン。

原田 美帆 与謝野町在住
インテリアコーディネーター・現代アートスタジオスタッフとして活躍し、2015年からは丹後・与謝野町に移住と共にデザインスタジオ「PARANOMAD(パラノマド)」を設立。織物は彫刻という独自の視点でカーテンを始めとしたテキスタイルを制作。また、マニアックな所まで的確にレポートするライターとしても活躍中。そんな彼女の美と食の記事は今後とても楽しみであります。PARANOMAD

 

 

INFORMATION

名称
クスカ株式会社
Name
KUSKA
住所
京都府与謝郡与謝野町岩屋384-1
Address
kyoto yosagun yoasanocho iwaya 384-1
URL
https://www.kuska.jp
Url
https://www.kuska.jp
名称 Name
クスカ株式会社 KUSKA
住所 Address
京都府与謝郡与謝野町岩屋384-1 kyoto yosagun yoasanocho iwaya 384-1
URL Url
https://www.kuska.jp https://www.kuska.jp
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