MENU
CLOSE

二人三脚でちりめんを紡ぐ 株式会社山藤 spinning chirimen with people Yamatou Co., Ltd.

大きな木製の車輪が回ると
何十個もコマに回転が伝わり
水に濡れた生糸に撚りがかけられてゆく
これは江戸時代に生まれた八丁撚糸機
丹後の誇る撚糸の技

こんにちは、PARANOMADテキスタイルデザイナーの原田美帆です。丹後ちりめんを織るには、強い撚りをかけた緯糸が欠かせません。撚糸の加工技術は産地の大きな柱です。江戸時代に創業した株式会社山藤では、今日も八丁撚糸機を使って強撚糸を作り、丹後ちりめんを織り上げています。

縁側の柔らかな日差しに独特の凹凸「シボ」が浮かび上がる。丹後ちりめんを象徴するシボには細かなものから大きなものまで様々な種類があります。主に風呂敷に使われる「鬼シボ」ちりめんは大きなシボが特徴。コシの強さと風合いの両立が難しいと言われています。山藤のちりめんに触れると、しっとりと柔らかいのに張り感があって、そのコントラストに驚きました。

現在は風呂敷メーカーとして自社オリジナル商品やOEMも手がける山藤ですが、創業から170年の歳月の中で着尺、帯揚げ、半襟なども手がけています。太平洋戦争中にはパラシュートや軍服のコート地も生産していました。「そういえば、大昔にはカーキ色の生地を見かけたことがあったのよ」。6代目 山添憲一さんと一緒に会社を支える明子さんが懐かしそうに話してくれます。


株式会社山藤 山添憲一さん(右)、明子さん

明子さんが嫁いで来られた頃は、山藤は製品を問屋に納める卸売の織元でした。倉庫には厳しい検品で在庫となった白生地が山となっていたそうです。バブル崩壊は和装業界にも影を落とし、大きな取引先であった東京の問屋も店をたたむ厳しい状況の中で、インターネットを使った直販へと舵を切ります。「お隣に住む方が、パソコンとファックスがあったら出来ると言ってくださったの。パソコンにも詳しくて毎晩のように教えてもらってね」。販路開拓と同時に、白生地から完成品までの道筋も必要となりました。ご縁があって、京都市内に一連の工程を任せられる工場を見つけます。そこには、染め、洗い、ノシ入れ、縫製、刺繍…一つ欠けても製品は完成しない、職人のバトンが確立していました。既存の流通構造にとらわれない販売には困難も伴いましたが、家業の継続のためにひるんでいられません。やがて、最終製品のオーダーができる織元として個人客や企業から注文が入ってくるようになります。「幸いなことにネットビジネスが加速していく時代に入りかかっていたんだと思いますよ」。卸売業と自社製品のバランスを取りながら生産するというスタイルを少しずつ育てられました。

明子さんは百貨店催事や海外販路の開拓にも積極的に参加していますが、産地全体としては、女性が表舞台に出てくることは今でも珍しい状況にあります。ご自身も最初は工場での下準備工程などを手伝っていました。子育てを終え、先代との世代交代を経て、ようやく製品の企画から販売までを担うようになったのです。大変なこともあったけれどと小さく笑う隣には、憲一さんがいつもの笑顔で座っています。二人三脚で歩みながら、地域の先進的な女性たちと時代を切り開いてこられました。

「これからは、もっと身近なシルク製品も作っていきたいと考えています」。丹後に来たら着物から洋服まで、いろんなシルク製品が体験できてみんながおしゃれになる。そんな産地にしたいと、洗えるシルクパジャマを開発中だと教えてくれました。中東の女性が身にまとうヒジャブも試験中だそうです。市場の激しさに惑わされず、いいものを作り続ける織元でありたい。時代が変わり、テクノロジーが進歩しても、丹後で一心に紡がれてきた技と美。山藤の風呂敷には、産地の心が宿っています。

原田 美帆 与謝野町在住
インテリアコーディネーター・現代アートスタジオスタッフとして活躍し、2015年からは丹後・与謝野町に移住と共にデザインスタジオ「PARANOMAD(パラノマド)」を設立。織物は彫刻という独自の視点でカーテンを始めとしたテキスタイルを制作。また、マニアックな所まで的確にレポートするライターとしても活躍中。そんな彼女の美と食の記事は今後とても楽しみであります。PARANOMAD

INFORMATION

名称
株式会社 山藤
Name
yamatou
住所
京都府与謝郡与謝野町弓木493
Address
kyoto yosanocho yumiki493
URL
https://www.furoshiki.jp
Url
https://www.furoshiki.jp
名称 Name
株式会社 山藤 yamatou
住所 Address
京都府与謝郡与謝野町弓木493 kyoto yosanocho yumiki493
URL Url
https://www.furoshiki.jp https://www.furoshiki.jp