WE 私たちみんなで
WAVE 青き波のように
WEAVE これからの暮らしを織りなそう
美しい自然に恵まれた日本の原風景と、土地に根付いた生業が息づく京都・丹後半島。この地域では、あまたの工房が伝統を大切にしながら、時代にあわせた革新をくり返して発展してきました。
近年では豊かな風土と先人たちのものづくりに魅かれた移住者が増え、丹後の土地、文化、そして地域の人たちと深く交わりながら、暮らしと生業をかたち作ろうとしています。文化を受け継いできた地域の人たち、移住者たち、そしてこの半島の魅力に気づき始めた人たち。多様な関係性の中で、丹後の魅力が再発見され、あらたな創造が広がりを見せています。
そして2021年。あたらしい時代に、丹後に生きるみんなが繋がり、共に歩んでいきたいという想いから「NEW WeAVE NEW TANGO 」(ニューウィーブ ニュータンゴ)という活動が生まれました。設立メンバーは丹後を拠点にする26ブランド。織物の老舗、移住者の開いた工房、地産の素材を生かした食品、クラフトビールなど多彩な企業が揃っています。
NEW WeAVE NEW TANGOコンセプト写真
「業種のカテゴリを超えて、一緒に丹後の魅力を伝えていきたい」。私たちがそう考えるようになったのは、とても自然なことでした。普段はそれぞれの生業に集中していますが、ひとたび暮らしに目を広げればイベントやローカルのお店で顔を合わせるご近所さん。そして日々の食卓や生活は、仲間の手がける美味しい野菜やパン、ビール、お酒、石けんなどで彩られているのです。こんなに豊かな暮らしが、丹後にはある。これをそのまま伝えられたらという想いが設立のきっかけになりました。
丹後の魅力が詰まったテーブル
NEW WeAVE NEW TANGOは製造業や飲食業などの業種カテゴリを横断したプロジェクトですが、これまでそういった機運がなかったわけではありません。飲食店による食の研究会や織物企業の共同プロジェクトなど、カテゴリごとのコミュニケーションは活発に行われてきました。しかし、カテゴリを超える連携はなかなか機会を得ませんでした。そこに小さな橋をかけてみようと試みたのです。
お互いの仕事をオープンにすると、新鮮な感動が生まれました。歩んできた歴史、技術の高さ、大切にしたい志…こんなに魅力的な人がすぐそばにいたと驚き、ともに活動する喜びに溢れました。企業間のコラボレーションも次々と誕生。焼物工房と米農家の「茶碗とお米セット」、石けんメーカーと機屋の「ちりめんパフ付き石けんギフト」、ビールと缶詰のペアリング企画も動き出します。それぞれの仕事に敬意を抱き、共感できる関係性が育っていきました。
コンセプト写真より 上質な暮らしを包むちりめん、藤織、石鹸
プロジェクトが動き出して間もなく、大阪 阪急うめだ本店で「海の京都・丹後で織りなすあたらしい暮らし」と題した催事が開かれます。会場には丹後の海で集めた流木を使った装飾、手機、大きな地図、美しい風景をプリントしたちりめんなどが並び、丹後の景色が広がっていました。そこかしこで来場者と会話が弾み、私たちは「丹後の魅力をまるごと伝えたい」という一歩を踏み出しました。
会場風景
設立から数ヶ月を経て地域の教育プログラムにも参加し、現在もコラボレーション製品やローカルマーケットの企画が進行中です。「丹後に暮らす人にも、地域のものづくりをもっと知って欲しい」「丹後を離れている丹後出身者とのつながりになりたい」「もっといろんな活動ができるのでは」と可能性は広がり続けています。
「weave:織る」を意味する言葉に「we:私たち」と「wave:波」を重ねて。NEW WeAVE NEW TANGOはさざめく波のように、絶えず変化し、広がり続けたいと思っています。
2021年 丹後半島より、希望を込めて。
原田 美帆 与謝野町在住
インテリアコーディネーター・現代アートスタジオスタッフとして活躍し、2015年からは丹後・与謝野町に移住と共にデザインスタジオ「PARANOMAD(パラノマド)」を設立。織物は彫刻という独自の視点でカーテンを始めとしたテキスタイルを制作。また、マニアックな所まで的確にレポートするライターとしても活躍中。そんな彼女の美と食の記事は今後とても楽しみであります。PARANOMAD