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蒼き矢が射る 伝統を想う心の輪 ARLNATA  part2 A circle of heart that thinks of the tradition that the blue arrow shoots ARLNATA part2

宝石のような反物が
衣服のかたちを得るとき
大きな循環が生まれる
職人からあなたへ 物語が贈られる

STUDIO ALATAを立ち上げた寺西俊輔さんと千慈さんは、大阪を本拠地とし最初の一歩を踏み出しました。産地に赴き、生産現場を見て、職人と会話を重ねて。一反の織物から洋服に仕立てるプロジェクトARLNATA(アルルナータ)は、「新た(ARATA)(ALATA)」と「あなた(ANATA)」を掛け合わせた造語です。ARLNATAに関わるデザイナー、職人、お客様…あなた方一人一人と共に進みたいと意志が込められています。

取材風景 トルソに着せられたトワル(試作)

「線に興味がありますね。平面でも立体でも、線と線がどう交わるときれいか」。ARLNATAの特徴的なフォルムには、幼少期から好きだったという「直線」へのこだわりがありました。反物を極力カットせず直線で仕立てる着物との共通項は偶然なのでしょうか。「線をどのように遊ぶか」という視座は俊輔さんが好む「絣」にも通じます。経糸や緯糸を部分的に染める「絣織」は、糸1本ずつが豊かな表情を見せながら全体の図案や色彩を織り上げています。「日本の絣技術は世界一ですね。繊細で精度が高い。僕にとっては線が変異して柄になる異質さが面白いんだと思います」。ARLNATAのコレクションは、その初期から結城紬、本場大島紬という伝統的な絣織を取り上げています。反物をデザインから手掛ける際も、絣のデザイン考察が欠かせません。

手染めによるモダンな絣 2019年 丹後織物のコレクションより

俊輔さんの衣服作りは、学生時代に遡ります。「ファッションが好きだったんですよ。大学の単位はぎりぎりでした」と言うほど、バイトをして好きな衣服を買い求めていたそうです。大学では建築を専攻しながら、服飾専門学校の夜間コースに入り、ミシンを踏み始めます。そこで見えたのは工業化された縫製の世界でした。専門学校で学んだ縫製の仕様と実際に売られている衣服の縫製はまるで違うもの。そこで学び続けることに疑問が湧き約半年で専門学校を去りましたが、服作りは継続します。購入した衣服の裏地を解いたり、もう単なるファッション好きに収まりませんでした。就職先は日本のハイブランド、ヨージヤマモト。生産管理とパタンナーとしてキャリアをスタートさせます。28歳で憧れだったヨーロッパに渡り、38歳で独立のため帰国するまで10年。名だたるブランドでレベルの高い職人たちとものづくりを経験してきました。

取材風景 パターンとトワル

ARLNATAの服作りを支える職人には「縫製」を担う存在も欠かせません。その柱となっているのは丹後の和裁士 谷奈津美さん*です。一級和裁士の国家資格を持ち、テーラーでも修行を積んだ高い技術力がARLNATAのデザインを実現させています。「民谷螺鈿の民谷さんから紹介していただいたのですが、最初は半信半疑でしたね。僕たちの求める基準は厳しいですよとサンプルをお願いしたら、これまでに見たどの職人の縫製よりも綺麗だったんです」。まさか丹後の小さな町に世界トップレベルの職人がいるとは、と驚きが隠せなかったそうです。

谷奈津美さんの作業風景 針に合わせ絹なりの音が聞こえてくる

ニットと織物を組み合わせた縫製を頼んでいるのは新潟県の工場。編物と織物では生地の収縮率が異なるため、どちらの生地もシワにならず縫い合わせるのは至難の業と多くの工場に断られました。「エルメス時代に編物と織物を組み合わせた製品があったので、日本で縫製先を探すのがここまで大変だと思いませんでした」。どうにか受けてくれた工場がこの技術を完成させるのに1年半かかったと言います。さらに新しい反物がコレクションに加わるたび、縫い合わせの検討が必要になる。工程全てにこだわり、手間を惜しまないものづくりの姿勢は、一反への畏敬の念の表れに見えます。そこに織り込まれているのは、単に糸と染料ではありません。風土、歴史、職人の想い全てが織物を存在させていると思えばこそ、徹底して最高峰のものづくりを目指せるのでしょう。

「蒼き矢が射る 伝統を想う心の輪 ARLNATA part3」に続きます。

*トップ写真 ARLNATA提供(撮影:菱川 陽亮(RIDE))
プロジェクト誕生の背景に迫る「蒼き矢が射る 伝統を想う心の輪 ARLNATA part1」
針と糸が結ぶもの 一級和裁士 谷奈津美 も併せてお読みください。

原田 美帆 与謝野町在住
インテリアコーディネーター・現代アートスタジオスタッフとして活躍し、2015年からは丹後・与謝野町に移住と共にデザインスタジオ「PARANOMAD(パラノマド)」を設立。織物は彫刻という独自の視点でカーテンを始めとしたテキスタイルを制作。また、マニアックな所まで的確にレポートするライターとしても活躍中。そんな彼女の美と食の記事は今後とても楽しみであります。PARANOMAD

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