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丹後ちりめんがつなぐ未来 たてつなぎ The future connected by Tango Chirimen Tatetsugi

洗濯機で洗えるポーチ
こどものお絵描きインテリアパネル
ワークショップで人気のボトルカバー
さあ次はどんなアイテムを生みだそう
京都・丹後のちりめんには、まだ見ぬ可能性が広がっている

「これも丹後ちりめん?」
一般に、丹後ちりめんと聞いてイメージするのは表面にシボと呼ばれる凸凹があり、滑らかな風合いが特徴の織物ではないでしょうか。まさか、丹後で愛されるヒラヤミルクのパッケージが印刷されたポーチや、にしがきのスーパー袋や、軽く丈夫なボトルホルダーが丹後ちりめん製とは、きっと分からないでしょう。

たてつなぎがリリースする丹後企業コラボトート

「たてつなぎのアイテムを通して、伝統を継続させたい。家業でも昔は丹後ちりめんを織っていました。かたちを変えて意味を残したいと思っています」。大善株式会社の田中栄輝さんは、2020年に結成されたグループ“たてつなぎ”メンバーの一人です。臼井織物株式会社の臼井勇人さん、株式会社二条丸八の森山怜子さんと共にプロジェクトを立ち上げました。

大善株式会社の田中栄輝さん(左)、臼井織物株式会社の臼井勇人さん

3人はそれぞれ丹後で織物事業に携わり、京都府の主催する講習会で出会います。その後に訪れたコロナ禍で「普段の仕事が止まってしまった。この時間に何かできないか」と手探りで活動をスタート。最初に挑戦したのはベビー用品の開発でした。3人とも子育て期だったため、ユーザーの求める商品が作れると考えたそうです。レーヨン製ちりめんのベビー枕や授乳クッションを作り、展示会の準備を行いましたが、なんと直前に洗濯による大きなちぢみが発覚します。これではダメだと使用する生地を切り替えることに。

次に選んだのが、現在も使い続けているポリエステル製ちりめん。勇人さんの家業、臼井織物が手がける織物です。カットしてもほつれにくく、丈夫で、プリントがしやすい。「糊付けはしていないけれど、とりあえずテストプリントをしてみて」。勇人さんからの依頼を受けてプリントを行うと、滲むと思っていた生地に綺麗にプリントできていました。

ワークショップ風景 写真手前に映る生地に熱湯を注ぐと勢いよく縮み、ちりめんの面白さが体感できる

「一般的に生地にプリントする場合、下地に糊をつけてからプリントしないとインクが滲んでしまいます。その後熱処理、洗い、仕上げ…と幾つも工程がありますが、この生地は糊をつけなくても滲まない。糊がいらないなら外注もなくせて、大幅に手間を省けるのです」。この発見は偶然だったと、インクジェットプリントを担当する栄輝さんが話してくれました。この不思議な現象の秘密は、まだ解明されていないそうです。

手間が省けるならと、たてつなぎはオーダー受注のアイテムを作り始めます。子どものお絵描きやペットの写真、結婚式のウェルカムボードなどをLINEで送ってもらい、グラフィックデザインを行う怜子さんが編集する。3人の得意領域を合わせた活動を、家業や勤務と並行しながら続ける。継続には困難もあったはずですが「たてつなぎを始めて、業種を問わず人とのつながりが生まれました。やっていて、楽しいです」と栄輝さん。

百貨店でのPOP UPにて、大型のオーダーパネルオーダーも行った

はオーダーより気軽に手にとってもらえるアイテムが作れないかと企画会議をひらき「ヒラヤミルクのポーチがあったら欲しいなあ」ポロッとでたアイデアから、ヒラヤミルクを製造する平林乳業に企画を持ち込みます。二つ返事で「ぜひ!」とプロジェクトが決まり、インスタグラムで販売すると用意した20個は即完売。追加で受注枠を設けると、あっという間に100個のオーダーが入りました。

丹後ちりめんヒラヤミルクポーチ(たてつなぎECサイトより)

丹後の地元企業とちりめんアイテムの組み合わせは、今ではたてつなぎの代表的なプロジェクトになりました。スーパーにしがき、弁慶寿司、京都丹後鉄道、ASOBIクラフトビール、向井酒造の銘柄…さまざまなイベントや場所でも販売され、地元愛の溢れる人たちの心を掴んできました。その後も、たてつなぎはUZURAと名付けた不良生地やデッドストックを活用したトートバッグとボトルホルダーなど次々と新商品を生み出しています。

ちりめんをレーザーカットで仕上げたボトルホルダー

「今後は丹後の人に限らず、多くの人が奥深く多様な丹後織物に入る第一歩目としてたてつなぎがあればいいと思っています」。カジュアルでユニークなアイテムが、いつか丹後の深い魅力へ導いてくれる。勇人さんが締め括った言葉は、ちりめんの可能性が込められていました。

原田 美帆 与謝野町在住
インテリアコーディネーター・現代アートスタジオスタッフとして活躍し、2015年からは丹後・与謝野町に移住と共にデザインスタジオ「PARANOMAD(パラノマド)」を設立。織物は彫刻という独自の視点でカーテンを始めとしたテキスタイルを制作。また、マニアックな所まで的確にレポートするライターとしても活躍中。そんな彼女の美と食の記事は今後とても楽しみであります。PARANOMAD

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たてつなぎ
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tatetsunagi
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https://tatetsunagi.com
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たてつなぎ tatetsunagi
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