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小さな駅から広がる丹後の輪 TANGOYA BREWERY & PUBLIC HOUSE Tango's circle spreads from a small station TANGOYA BREWERY & PUBLIC HOUSE

町にひとつの小さな駅
昔は静まりかえってた
町にひとつの小さな駅
今は笑顔があふれてる

2023年7月、京都・丹後の与謝野駅前にTANGOYA BREWERY & PUBLIC HOUSEがオープンしました。クラフトビール醸造所に飲食スペースを併設した町と人の交流拠点です。「パブリックハウスはパブの語源です。単にお酒を飲む店ではなく、人々の交流する場所にしたいと考えて名づけました」。創業は地元与謝野の若手ベンチャー、株式会社ローカルフラッグ(以下、ローカルフラッグ)。代表取締役 濱田祐太さんが店名に込めた想いを話してくれました。

株式会社ローカルフラッグ 濱田祐太さん

ローカルフラッグは2019年、祐太さんが大学在学中に設立。地方自治体や地域金融機関と連携した移住促進や学生インターンなどまちづくり事業に取り組んでいます*1。そしてもう一つ、与謝野町の地域資源を活かした事業が「ASOBI」、与謝野産ホップを使用したクラフトビールです*2。自らが旗振り役として与謝野を盛り上げたいと2020年にリリースしました。

TANGOYA BREWERY & PUBLIC HOUSEで醸造責任者を務める野村京平さんは、ASOBI立ち上げのタイミングでローカルフラッグに参画。祐太さんとは同じ中学校の先輩と後輩の関係でしたが、大学進学後、京都市内で偶然の再会を果たします。与謝野町長と民間企業がひらいたトークセッションの会場で一際目立っていた祐太さんと話し、いつか一緒に地元で何かをしようと意気投合。東京に就職しても定期的に会う仲になったそうです。

株式会社ローカルフラッグ 野村京平さん

東京で働き始めて2年目の2020年、「一緒にビール事業をしませんか」と声がかかります。まだASOBIという名前もなく、与謝野町のホップを使ってビールを作ることだけ決まっている状態でしたが、京平さんにとっても自身の働き方やライフスタイルを見つめ直す時期と重なり、ASOBIのコンセプトやブランディングを手がけるようになりました。まずは副業としてスタートし、2022年に東京の会社を退職し丹後へUターン。TANGOYA立ち上げの場所探しから全国各地での醸造研修まで駆け抜けます。

「与謝野で工場を作りたかった」。二人は声を揃えて言います。ホップ産地として人気が高まりイベントで人が集まると、醸造所がないことにがっかりされる。ASOBIの醸造は静岡の工場へ委託しているため、せっかく与謝野に興味が高まっても若者がUIターンできる仕事場がない。ビールが人の集まる場を生み出し人の心を動かす手応えを感じていたローカルフラッグが、自社工場設立へと動き出すのは自然な流れでした。

ホップ収穫イベントにて、参加者と共にホップを積む

TANGOYAが位置する与謝野駅周辺は、かつて飲食店、自転車屋、民宿が集い賑わうエリアでした。しかしながら近現代になるとそばを通るバイパスへ商店が集まり、汽車の送迎時間帯のみ車が増えるようになってしまいます。「最初は観光客だけが集まってしまう状況になるのではと心配していたのですが、オープンしてみたら地元の人だけでいっぱいになる日もあって、すごく嬉しいです」。単なる飲食店ではなく、地域を盛り上げたいと活動してきたローカルフラッグだからこそ、地域の人もパブに集まるのでしょう。さらにパブリックハウスの誕生は、思わぬ波及効果も生み出そうとしています。

田園風景が広がる丹後鉄道与謝野駅

駅前に10個のコンテンツが集まればエリアが変わる」。祐太さんは自社の醸造所のほか、地元住民と一緒になってBBQ施設の計画や空き家の利活用案を進めています。2025年に開業100周年を迎える与謝野駅には、地域を盛り上げたいと熱い人たちが集まり始めました。鉄道会社もあらたな利用の開拓や公共交通のあり方への一石として可能性を探っています。駅に人が集い、町が賑やかになる。昭和、平成、令和と時代がめぐって、あたらしい町のかたちが与謝野駅で生まれようとしています。

ローカルフラッグの躍進を楽しみに、TANGOYA BREWERY & PUBLIC HOUSEでまずは乾杯。これからの町づくりを語らいに来ませんか。

TANGOYA BREWERY & PUBLIC HOUSE外観

*1:濱田祐太さんご自身が、会社設営前の2018年に執筆された記事“〜故郷を想い、丹後と都市を繋げる〜若き22歳の挑戦”も合わせてご一読ください

*2:与謝野産ホップの歩みとASOBI誕生をつづった、“緑色の毬花に魅せられて。”も合わせてご一読ください

原田 美帆 与謝野町在住
インテリアコーディネーター・現代アートスタジオスタッフとして活躍し、2015年からは丹後・与謝野町に移住と共にデザインスタジオ「PARANOMAD(パラノマド)」を設立。織物は彫刻という独自の視点でカーテンを始めとしたテキスタイルを制作。また、マニアックな所まで的確にレポートするライターとしても活躍中。そんな彼女の美と食の記事は今後とても楽しみであります。PARANOMAD

INFORMATION

名称
TANGOYA BREWERY & PUBLIC HOUSE
Name
TANGOYA BREWERY & PUBLIC HOUSE
住所
京都府与謝郡与謝野町下山田1342-1
Address
kyoto yosano-cho simoyamada 1342-1
URL
https://kakehashi.beer
Url
https://kakehashi.beer
名称 Name
TANGOYA BREWERY & PUBLIC HOUSE TANGOYA BREWERY & PUBLIC HOUSE
住所 Address
京都府与謝郡与謝野町下山田1342-1 kyoto yosano-cho simoyamada 1342-1
URL Url
https://kakehashi.beer https://kakehashi.beer
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